勝手気ままに書いていくコラムです。
今回のネタはとてもニッチな分野ですね。
みなさん、あなたが経営者だとして事業計画を立てたり、経営方針を決める際にはその道のプロにコンサルを受けることってありますよね。
餅は餅屋に頼むという発想です。
ある意味、至極当然で当たり前のことのように思いますが、自治体では否定されることがあります。
このことが自治体の運営にとってどれだけの損失となるか、書いていきたいと思います。(いわゆる愚痴になりますが・・。)
整理|どのような委託業務を指すのか
それでは、本記事でお伝えしたい委託業務とはどのようなものを指すのか整理していきます。
一口に委託業務といっても様々なものを思い浮かべますよね。
それこそ建物の法定点検や保守管理、清掃委託、団体などへの事業委託など委託業務の形態は様々です。
私が指摘する委託業務は、そのようなある種定例的なものではなくて、もっと新規性の強い事業を開始する際に、当該事業を最大限の効果を発現するために伴走してもらうための委託業務のことを指しています。
業務委託しないことの弊害を考える!
例えば、今話題の「人口減少問題対策」の事業を考える際に、取りまとめを行う部所から各部所に照会が行われ、各部所は内部で意見出しを行う。
その行為自体に問題はないし、アイデアを炙り出す動きというのは必須ですよね。
しかし、取りまとめ役となる部所が、担当部所から取りまとめた結果をそのまま形にしていくというスキーム自体に問題はないでしょうか。
各部所からは素晴らしい意見が出てくるという性善説に基づいて動いてはいけないのではないかと思うのです。
各部所から出された意見は本当に有用なのか?
そもそも、各部所の立場からすると、例え新規性の高い事業を思いつく人がいたとしても、よほど理解のある上司がいない限り、その案は通らないものと考えます。
なぜかというと、各部所の業務は既に100%または100%を超える仕事を抱えているからです。
その上で新規性の高い事業を企画すると、キャパオーバーの状態に加えて業務が積み上げられることになります。
もちろん、今ある100の事業をスクラップできれば良いですが、簡単ではありません。
職員の残業を増やしてまで提案するのかというと、否です。
「人口減少問題対策」という目的達成のために純粋に意見出しをしていくこと以外の観点が加えられるため、まともな意見が出ないのです。
一部、熱意のある職員が素晴らしい意見を提案したとしても、
その事業は、
- 当該部所が行うべきことなのか
- 他の所属がすべきことではないのか
- 新規予算が必要ではないのか
- 誰がするのか
といった具合に”受け入れない理由探し”から議論がはじめられるのです。
この調子では、良い意見が出るハズがありません。
本来は、当該所管であるかどうかなどは抜きにして、自由に意見出しを行うべきことです。
しかし、多くの場合そのようなことにはなっていませんので、積極的な意見は出てこないのです。
取りまとめを行う部所の過ち!
多くの所属から、上のような観点で提出されてくる意見は、既存の事業から少しだけ派生したものなど、惰性的に、そして当たり障りない意見となってしまいがちです。
一方で、取りまとめする側の所属は、そんな各所属から提出された意見を最大限汲み取ろうとします。
これが大きな過ちです。
取りまとめ部所は良い意見、悪い意見をしっかりとブラッシュアップしないといけないとても重要なポジションにあるのに、その責を果たそうとしない場合が多いです。
これでは、良いものができるハズもありません。
ある新しいことを考えていくのに、予算の話やどこの部所が担当するのかなど、事業化の決定後のことまで考えながらでは、良い意見も出てきようがありませんよね。
解決策は|タスクフォースの結成とコンサルとの協働
自治体において、今述べたようなことが起きることを防ぐため、何をどうすれば良いのか。
タスクフォースの結成
多くの民間企業では新たなプロジェクトに対して各部所から選りすぐりの社員を集めるなどしてタスクフォースが結成されることって、普通にありますよね。
行政でも肝入り企画であれば、このようなプロジェクトチーム的なものが結成されることはあります。
しかし、このような意見出しの段階でタスクフォースが結成されることは、まずありません。
「人口減少問題対策」を例にして、この問題に取り組む所属がありますよね。
これは、先述の取りまとめ部所にあたります。
テーマの大きさから、ただならぬ問題であることはすぐに分かります。
この段階からタスクフォースを結成するべきなのです。
そして、タスクフォースから各部所に対して意見照会を行うといった流れが良いです。
意見の聞き方一つとっても回答のされ方が全然違ってきますから。
伴走してくれるコンサルに業務委託する!
そして重要となりますのが、何事も物事の進め方というのにはテクニックというものがあります。
餅は餅屋に・・、のとおり、行政であってもお願いするべきところはお願いするべきなのです。
つまり、外注(コンサルなどへの)ですね。
その際にしっかりと同じ方向に伴走してくれるコンサルを探すことは相当重要です。
今、戦略的コンサルの会社は多くあります。
職員が例の「人口減少問題対策」に本気で取り組む覚悟をもつと、自ずと手を組むべきコンサルは見つかるのではないでしょうか。
行政なので、どうしても入札などを経て発注が必要になります。
発注前から真摯に対応してくれる企業の活用をするべきです。
そして、しっかりとした仕様書を作成し発注をします。
障壁となるのは財務当局!?
さて、頭ではわかっていても現実はそう甘くないことは分かります。
コンサルに出したいと考えても、多くの方は壁に当たるのではないでしょうか。
ただでさえ新規事業は財政当局の審査(抵抗?)が厳しいのに、委託料が含まれると途端に拒絶反応が生まれます。
- 委託しなくても職員が考えれば良いのではないか
- 丸投げするのか
このようなことを言われます。
前時代的な発想だと思いますが、多くの自治体でこのような考え方が未だにはびこっているのではないでしょうか。
ひと昔前と明らかに違うのは、これだけ世界が日々複雑に動いている中で極限まで減らされた少ない職員が全てを請け負い、生み出し続けるのには限界があるということ。
丸投げだなんて、ひと昔前のイメージで断じてもらっては困ります。
コンサルを入れないと、行政の偏った感覚を持って仕事を進めてしまい、かえって行政課題解決に手戻りが生じることにもつながるかもしれません。
その時の責任は誰がとるのか。
職員の稼働時間にも限界があるということを、今一度管理部門は認識しておくべきです。
障壁となるのは財務当局だけでない!身内にも!
さらに問題になるのが、事業を企画する際に障壁となるのはなにも財務当局ばかりではないということです。
行政には数多くいらっしゃる上司の方々。
彼らは若い頃から様々な経験を積まれており、人によっては事業畑でバリバリ働いていた経験があったり、財務当局での勤務経験を有する方であったり、輝かしい経歴をもって指導をされる(一部アップデートされる方もいますが)ため、委託することを提案すると気に入らないと言われてしまう。
自分で汗をかけと。
きっと財政から反対されるハズだと。
これでは、良い仕事は生まれません。
若い世代の職員が、現代を生きて得たナマの情報をもとに練り上げられた企画を上司は大事に汲み取ってほしい。
分からないワードがあるなら、その時でなくても良いからきっちりと調べて考えてほしい。
頭ごなしに否定することしか考えないのであれば、何も前向きには進まないのです。
業務コンサルをうまく活用して良い仕事を創る
公務員は総じて外の世界とつながることに抵抗感を覚えます。
しかし、行政だけの世界の中にいても何も地域を変えることなんてできるとは思えません。
地域を知ることは、行政の域を超えることを指します。
民間企業の活動の向こうに住民がいるのだと思うのです。
民間企業は今、地方創生やDXなどの推進を掲げ、行政とつながることにメリットを感じています。
現に多くの企業内には地方創生に関わる部門を設置し、広く地域行政との連携を模索しています。
行政は外に出ていき、民間企業が何を行政とタイアップしようとしているのか、行政はどう民間企業と仕事をすると地域が豊かになるのか、真剣に考えるべきです。
企業にはお金が落ちる仕組みを考えなければなりません。
丸投げの委託ではなく、伴走する委託となるように仕様書をしっかりと作り込み、内外から文句が上がらない成果を出せるように取り組みを進めることができれば、地方創生が叶うのではないかと願っています。
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